【写真】東京タワーと周辺地区/東京都港区(日本)
Q.富裕層の国税逃れを防ぐ政府の対策を、まとめていただきたいです。
A.富裕層の資産増税対策は、年々増え続けています。
目次
日本人富裕層に対する課税包囲網
2014年から「国外財産調書」、「国外送金等調書」、「国外証券移管等調書」、「財産債務調書」制度など、日本居住者の富裕層を対象とした増税対策が次々と導入され、様々な課税包囲網が敷かれ始めています。
下記に、具体的な増税制度をまとめましたので、参考にしていただければ幸いです。
富裕層の資産増税制度
KSKシステム
日本全国の国税局・税務署をネットワークで結び、納税者の申告データを一元管理して分析するシステム。(2001年~)
国外財産調書制度
海外に5,000万円を超える資産を所有する個人は、保有財産の内容等を記載して税務署に提出。(2014年~)
不提出や虚偽報告の場合、1年以下の懲役、または50万円以下の罰金。
また、未提出で申告漏れが発覚した場合は、加算税等が5%発生。(提出で5%軽減)
国外送金等調書制度
100万円を超える海外送金があった場合、金融機関が税務署に報告。
* 2009年までは200万円だったが、その後引き下げになった。
国外証券移管等調書制度
国内外をまたいで有価証券の移管があった場合、金融機関が税務署に報告。(2015年~)
国外転出時課税(出国税)制度
海外に移住する際、1億円以上の有価証券を保有している場合、日本出国時に譲渡したとみなして含み益に課税。(2015年7月~)
超富裕層監視制度
富裕層を区分して各国税局で監視。(2015年7月~)
財産債務調書制度
所得2,000万円超かつ総資産3億円以上、または有価証券等1億円以上を所有する個人は、国内外を問わず財産内容を記載して税務署に提出。(2016年~)
懲役や罰金はないが、未提出で申告漏れが発覚した場合は、加算税等が5%発生。(提出で5%軽減)
自動情報交換制度
各国の税務当局と双方居住者の銀行口座残高、受取配当金額などを情報交換。(2018年~)
ただし、一部の国は含まれない。
その他の富裕層増税対策
富裕層専門プロジェクトチーム発足
東京都・大阪府・愛知県(名古屋市)の国税局に「重点管理富裕層プロジェクトチーム」が発足。(2014年7月)
2017年7月以降、全国に拡大予定。
また、国税庁内に「重点管理富裕層に係る管理等の試行について」の文書が発行。(2015年6月)
所得税・相続税の引き上げ
所得税の最高税率が40%から45%に、相続税の最高税率が50%から55%に引き上げ。(2015年1月)
また相続税では、非課税となる基礎控除金額が「5,000万円+(1,000万円×法定相続人数)」から「3,000万円+(600万円×法定相続人数)」に引き下げ。
タワーマンション増税
2018年以降に引き渡す20階建て以上のマンションで、高層階の税額を引き上げ。(2018年~)
2016年12月8日に政府がまとめた「2017年度税制改正大綱」に盛り込まれた。
今後導入予定の増税制度
5年ルールが10年へ変更
本人(相続人)と財産を受け取る子供など(被相続人)がどちらも5年間海外に住んだ場合、海外に移した財産の贈与に対して相続税(贈与税)が課税されないという「5年ルール」制度(2000年~)が、今後10年に変更される見込み。
2016年12月8日に政府がまとめた「2017年度税制改正大綱」に盛り込まれた。
国家間で富裕層の情報共有
国際的ネットワークで富裕層情報を交換のための協調体制を構築。
配偶者控除の見直し
年収1,120万円(手取り900万円)超で、配偶者が専業主婦の場合に増税。
2016年12月8日に政府がまとめた「2017年度税制改正大綱」に盛り込まれた。
(参考文献: 「ZAi」2017年2月号 / http://diamond.jp/zai)
(参考文献: 「マネーの達人」2016年11月28日記事 / http://manetatsu.com/)